院内に論文を見てくれる人がいない。
病院薬剤師が症例報告や原著論文を書こうとしたとき、最初にぶつかる壁の一つがこれだと思います。
私自身、初めての論文(症例報告)では、文章構成、査読対応、新規性の見せ方など、ほとんどの部分で行き詰まりました。
職場では大きな指摘を受けなかった原稿も、院外のメンターに見てもらうと、「考察部分が認定の症例提示のような書き方になっている。これは考察ではない」と指摘されました。
そのとき初めて、論文には論文の書き方があり、院内の実務評価とは別の視点が必要なのだと痛感しました。
ただ、そこで大事なのは、やみくもに“優しそうな先生”を探すことではありません。
直近で論文を書いている人、査読の目線を持っている人、自分のテーマに近い領域で実績がある人を探すこと。
そして、相手に失礼のない形で、相談内容を整理して学会で接点を作ることです。
この記事では、院内に論文作成の指導者がいない病院薬剤師向けに、論文メンターをどう探し、どう相談し、どう関係を続けるかを整理します。
この記事で伝えたいこと
- 論文は一人で書かなくていい
- 院内に指導者がいなくても諦めなくていい
- メンターは運ではなく、探し方で見つけられる
- 査読の目を持つ人に見てもらうと、論文は大きく変わる
- 相談前の準備と礼儀が、継続的な関係につながる
論文をリジェクトされた後、どのように立て直したかは以下の記事でも詳しく書いています。
関連記事:
リジェクトされた症例報告がAcceptされるまで|査読対応で意識したこと
院内に論文作成の指導者がいない病院薬剤師は珍しくない
病院薬剤師が論文を書こうとしたとき、院内に論文執筆の指導ができる人がいないことは珍しくありません。
もちろん、臨床の相談ができる先輩や上司はいるかもしれません。
しかし、臨床での妥当性を見てもらうことと、論文として通る構成に整えることは別です。
私自身、院内で原稿を見てもらっていたときには、大きな指摘を受けませんでした。
しかし、論文メンターに見てもらったときに、考察の書き方そのものを指摘されました。
そのときに感じたのは、「院内で指摘されない=論文として十分」ではないということです。
認定の症例提示、学会の抄録、論文は、それぞれ求められる書き方が違います。
特に症例報告では、単に「こういう患者がいました」「こう対応しました」だけでは不十分です。
先行研究の中で、その症例がどのような位置づけにあるのか、何が新しいのか、どのような臨床的意義があるのかを示す必要があります。
ここで詰まったときに、一人で抱え込むとかなり苦しくなります。
院内に指導者がいないことは、論文を書けない理由にはなりません。
ただし、院内に指導者がいないなら、院外にメンターを持つ視点が必要です。
論文メンターは「有名な人」より「今も論文を通している人」を探す
論文メンターを探すとき、つい「有名な先生に見てもらいたい」と思うかもしれません。
もちろん、有名な先生に相談できるなら、それは大きなチャンスです。
しかし、私が重視しているのは、知名度よりも「今も論文を書いているか」です。
有名でも忙しすぎて返事がない人より、直近で論文を書いていて、実務感があり、相談しやすい先生の方が、論文の進捗にはつながりやすいと感じています。
相談しにくい相手だと、ちょっとした疑問を聞けず、修正が止まってしまいます。
論文は、勢いだけでは最後まで進みません。
投稿、査読対応、再投稿まで考えると、継続して相談できる関係性が重要です。
直近2〜4年で論文投稿している人を見る
私がメンター候補を見るときは、まず直近2〜4年で論文投稿をしているかを確認します。
理由はシンプルです。
直近で論文を書いている人は、論文作成や査読対応を継続して経験している可能性が高いからです。
投稿規定、査読の温度感、求められる新規性、考察の書き方は、時代や雑誌によって少しずつ変わります。
10年前に実績がある人も素晴らしいですが、今の投稿環境を知っているかどうかは別です。
そのため、私はメンター候補を見るときに、過去の大きな実績だけでなく、今も書いている人かどうかを重視します。
私が重視するメンター候補の条件
- 直近2〜4年で論文投稿をしている
- 自分のテーマに近い領域で実績がある
- 症例報告や原著論文の投稿経験がある
- 査読対応や投稿戦略の視点を持っている
- 相談しやすく、継続的にやり取りできそう
査読経験のある人は投稿戦略の視点を持っている
もう一つ重視したいのが、査読経験です。
査読経験のある先生は、単に文章を整えるだけでなく、査読者の視点で「どこがリジェクト理由になりやすいか」を予測できる可能性があります。
論文は、自分が書きたいことを書くだけでは通りません。
査読者に、なぜこの症例を報告する価値があるのか、なぜこの考察が妥当なのか、なぜこの投稿先に合っているのかを伝える必要があります。
私がメンターに相談して大きく変わったと感じているのは、特に以下の部分です。
- 考察の組み立て方
- 新規性の見せ方
- 査読対応の考え方
- 投稿先の選び方
これは、自分一人ではなかなか気づきにくい部分です。
だからこそ、論文メンターには、できれば査読の目線を持っている人を選びたいと考えています。
メンター候補を探す具体的な方法
では、実際にどうやってメンター候補を探すのか。
私が見るのは、主に以下の3つです。
- Researchmapで直近の業績を見る
- 投稿先に近い雑誌の論文著者を見る
- 投稿論文査読者協力リストを見る
Researchmapで直近の業績を見る
まず使いやすいのがResearchmapです。
Researchmapを見ると、その先生がどの領域で、どのような論文を書いているかを確認できます。
私が見るのは、単に「論文数が多いか」だけではありません。
Researchmapで見るポイント
- 論文の更新年
- 筆頭著者か共著者か
- 症例報告か原著か
- 自分のテーマに近いか
- MISCや講演歴があるか
- 考察の書き方
- 共著者のつながり
- 引用文献の選び方
特に私は、候補者の論文を読むときに、考察、共著者、引用文献を見ます。
考察を読めば、その先生がどのように新規性を見せるのか、どのように先行研究と自分の症例をつなげるのかが分かります。
共著者を見ると、どのような研究ネットワークの中で論文を書いているのかが見えてきます。
引用文献を見ると、どの領域の文献を重視しているのか、どの雑誌の論文を使っているのかが分かります。
つまり、Researchmapは単に名前を調べる場所ではなく、メンター候補の“論文の癖”を見る場所だと考えています。
投稿先に近い雑誌の論文著者を見る
投稿したい雑誌がある程度決まっているなら、その雑誌に近いテーマで論文を書いている先生を探すのも有効です。
たとえば、日病薬誌に投稿したいなら、日病薬誌に掲載されている症例報告や実践報告を読む。
医療薬学系の雑誌に投稿したいなら、医療薬学や関連する学会誌で、自分のテーマに近い論文を書いている先生を探す。
感染症、医薬品安全性、周術期、がん、NST、腎、糖尿病など、投稿したい領域に近い論文を探すことで、相談すべき相手が見えてきます。
投稿先の雰囲気を理解している人に見てもらえると、構成のズレや新規性の見せ方を修正しやすくなります。
論文メンターは、単に文章を直してくれる人ではありません。
「この症例なら、どこを強調すべきか」「どの雑誌なら通りやすいか」を一緒に考えてくれる人です。
投稿論文査読者協力リストを見る
日病薬誌などでは、投稿論文査読者協力リストが確認できる場合があります。
これは、査読経験のある先生を知る手がかりになります。
査読経験のある先生は、論文を評価する視点を持っている可能性があります。つまり、リジェクトになりやすい理由や、査読で突っ込まれやすい部分を予測できる可能性があります。
ただし、注意点があります。
「査読者リストで名前を見たので、指導してください」と前面に出すのは避けた方がよいと思います。
まずは、その先生の専門領域や直近の論文を確認し、自分のテーマと接点があるかを見ます。
そのうえで、研究相談として丁寧に連絡する方が自然です。
査読者協力リストは、あくまでメンター候補を探すための一つの手がかりです。
大切なのは、リストに名前があることではなく、自分のテーマに近い領域で、論文を評価する目線を持っているかです。
症例報告と原著論文では、必要なメンターが違う
メンターは一人で十分とは限りません。
私は、メンターは複数いてもよいと思っています。
領域ごとに相談できる人がいてもよいですし、その領域で優秀な先生に投稿戦略についてアドバイスをもらうのもよいと考えています。
ただし、同じ原稿を複数人に同時に依頼すると、助言の方向性が分かれて混乱することがあります。
そのため、主に相談するメンターを決めたうえで、統計、専門領域、投稿先選定など、必要に応じて別の先生に相談する形が現実的です。
症例報告では「新規性の見せ方」を見てくれる人が重要
症例報告では、その症例を報告する意味をどう示すかが重要です。
単に珍しい症例だから、うまく対応できたから、というだけでは論文として弱くなることがあります。
症例報告のメンターには、以下を見てもらえると大きいです。
- この症例の新規性はどこか
- 先行研究とどう違うのか
- 考察で何を主張すべきか
- 投稿先に合った構成になっているか
私自身、メンターに見てもらうことで、考察と新規性の見せ方が大きく変わりました。
原著論文では「研究デザイン・統計・倫理審査」まで見られる人が必要
一方で、原著論文では、症例報告とは別の力が必要になります。
研究デザイン、統計、倫理審査、データの扱い方などを見られる人が必要です。
場合によっては、統計を専門にされている先生に相談する必要もあります。
原著論文では、テーマの面白さだけでなく、研究として成立しているかどうかが問われます。
そのため、症例報告のメンターと原著論文のメンターは、分けて考えてもよいと思います。
メンター候補に相談する前に準備するもの
メンター候補が見つかったとしても、いきなり相談すればよいわけではありません。
相談する側にも、最低限の準備が必要です。
メンターに連絡する前の準備リスト
- 論文化したいテーマを1文で説明できる
- 症例報告なら症例概要をまとめている
- 先行研究を3〜5本読んでいる
- 投稿先候補を1〜2誌考えている
- 相談したい論点を明確にしている
- 患者情報や施設情報を匿名化している
特に大事なのは、「何を相談したいのか」を明確にすることです。
症例概要、先行研究、投稿先候補、相談したい論点が整理されているだけで、相手はかなり助言しやすくなります。
また、最初からアドバイスをもらえる状況であれば、構想段階で相談するのもよいと思います。
私の経験では、ある程度形にしてから見てもらうと、一からやり直しになるパターンもあります。
そのため、可能であれば早めに相談した方が、手戻りを減らせます。
外部に相談するときは、個人情報と守秘義務に注意する
院外のメンターに相談する場合は、患者情報や施設情報の取り扱いに注意が必要です。
症例報告の相談では、患者背景、検査値、治療経過、診療科、日付など、組み合わせによって個人や施設が推測される情報が含まれることがあります。
相談前には、以下を確認しておくと安心です。
- 患者名、ID、生年月日などの直接識別情報を削除する
- 日付や年齢など、特定につながる情報を必要に応じて加工する
- 施設名、診療科名、地域などが過度に特定されないようにする
- 院内の研究・症例報告に関するルールを確認する
- 未投稿原稿やデータの共有範囲を必要最小限にする
論文指導を受けること自体は有用ですが、医療職として守秘義務と個人情報保護への配慮は欠かせません。
相談先との信頼関係を守るためにも、最初の段階で匿名化と共有範囲を意識しておくことが大切です。
メンター候補とは、まず学会で面識を作るのが一番よい
メンター候補が見つかったとしても、いきなりメールで「論文を見てください」「指導してください」とお願いするのは、少しハードルが高いと思います。
もちろん、メールでの相談が悪いわけではありません。
しかし、私自身は、学会や研究会などで実際に顔を合わせ、面識を作ってから相談する流れが一番自然だと感じています。
論文メンターを探すうえで大切なのは、単に「すごい先生を見つけること」ではありません。
自分のテーマに近い先生と接点を作り、自分がどのような症例や研究に取り組んでいるのかを簡潔に伝え、そのうえで後日あらためて相談できる関係を作ることです。
学会はメンター候補と接点を作る場になる
学会は、論文メンター候補と接点を作るうえで非常に重要な場です。
なぜなら、学会では自分の関心領域に近い先生や、実際に論文を書いている先生と直接話せる可能性があるからです。
たとえば、以下のような場面は大きなチャンスになります。
- 自分のテーマに近い演題を発表している先生に質問する
- ポスター発表後に、演者へ感想や質問を伝える
- シンポジウムや教育講演の後に、短く挨拶する
- 自分が発表した演題に対して質問をくれた先生と名刺交換する
- 学会後に、発表内容をきっかけにメールでお礼を伝える
いきなり「論文指導をお願いします」と言う必要はありません。
まずは、相手の発表や論文に対して、どこが参考になったのかを具体的に伝えることが大切です。
学会での最初の声かけは短くてよい
学会で話しかけるときは、長く話そうとしなくて大丈夫です。
むしろ、相手の時間を考えると、最初は短く、失礼のない範囲で十分です。
学会での声かけ例
〇〇先生、本日のご発表を拝聴しました。〇〇の考察が非常に勉強になりました。
私も現在、〇〇に関する症例報告をまとめており、先生のご発表内容がとても参考になりました。
もし差し支えなければ、後日あらためて簡単にご相談させていただくことは可能でしょうか。
本日は貴重なご発表をありがとうございました。
この程度で十分です。
大切なのは、相手の発表や論文をきちんと見たうえで声をかけることです。
単に「有名な先生だから相談したい」ではなく、その先生の発表や論文のどこに関心を持ったのかを伝えることで、相談の自然さが増します。
後日メールは「学会での接点」を踏まえて送る
学会で名刺交換や短い会話ができた場合は、後日メールでお礼と相談内容を送ると自然です。
この場合、最初から長い原稿を添付するのではなく、まずは簡単な症例概要や相談したい論点を伝え、「ご負担でなければご意見をいただけないか」と相談する形がよいと思います。
学会後のメール文例
〇〇先生
先日の〇〇学会では、ご発表後にお時間をいただきありがとうございました。〇〇病院薬剤部の〇〇です。
先生のご発表で示されていた〇〇の視点が、現在私がまとめている症例報告と近く、大変勉強になりました。
現在、私は〇〇に関する症例報告を作成しており、特に考察の組み立て方と新規性の示し方で悩んでおります。
もしご負担でなければ、匿名化した症例概要と相談したい論点を簡単にまとめたものをお送りし、一度ご意見をいただくことは可能でしょうか。
ご多忙のところ恐縮ですが、難しい場合はご遠慮なくお申し付けください。
何卒よろしくお願い申し上げます。
〇〇病院 薬剤部
氏名
メールアドレス
このように、メールは「最初の接点を作る手段」というより、学会で作った接点を次につなげる手段として使う方が自然です。
学会で面識を作り、後日メールでお礼と相談をする。
この流れの方が、相手にも自分にも無理が少なく、継続的な関係につながりやすいと感じています。
この文例で意識しているのは、以下の点です。
- 相手の論文を読んだことを伝える
- 自分の立場と相談内容を簡潔に示す
- いきなり添削依頼ではなく「一度ご意見をいただけないか」に留める
- 断りやすい余地を残す
相手の先生にも都合があります。
返事がない場合や断られた場合でも、それは自分の価値が否定されたわけではありません。
相談を受ける余裕がない、専門領域が少し違う、タイミングが合わないなど、理由はさまざまです。
大切なのは、丁寧に準備し、失礼のない形で相談することです。
やってはいけない論文メンターへの相談の仕方
論文メンターに相談するときは、「教えてもらえれば何とかなる」という姿勢ではうまくいきません。
メンターは、自分の代わりに論文を書いてくれる人ではありません。
自分では気づけない視点を与えてくれる指導者です。だからこそ、相談する側にも最低限の準備と礼儀が必要です。
原稿も概要もなしに「何を書けばいいですか?」と聞く
原稿も概要もなしに「何を書けばいいですか?」と聞くのは避けた方がよいです。
自分の意思や考えがない状態で相談しても、相手は助言しにくいからです。
もちろん、構想段階で相談すること自体は悪くありません。
ただし、その場合でも、症例の概要、なぜ論文化できると思ったのか、どこで困っているのかは整理しておく必要があります。
いきなり共著をお願いする
初回相談でいきなり共著をお願いするのも避けた方がよいと思います。
まずは、症例や研究内容、相談したい論点を伝えることが先です。
そのうえで、継続的に指導を受け、論文作成への実質的な貢献がある場合に、共著について相談する流れが自然だと思います。
返事を急かす
メンター候補の先生も、当然ながら日常業務や研究、教育、学会活動を抱えています。
こちらが早く返事をほしい状況でも、相手の都合を考えずに催促するのは避けるべきです。
社会人として、相手の時間を尊重することが大切です。
締切がある場合は、最初の相談時点で「いつ頃までにご意見をいただけると助かるか」を丁寧に伝えておく方がよいと思います。
添削してもらったのに直さず、同じ内容で再相談する
添削を受けたにもかかわらず、修正せずに同じ内容で再相談するのも避けたいところです。
指摘された部分は、まず自分なりに直す。
そのうえで、どこを修正したのかが分かるように示して返すことが大切です。
私の場合は、修正した箇所を赤字で示すようにしています。そうすることで、メンター側も変更点を確認しやすくなります。
もちろん、指摘された内容の中でも「ここは残したい」と思う部分があることもあります。
その場合は、何も直さずに戻すのではなく、「この部分はこういう理由で残したいと考えています」と伝え、都度ディスカッションするのがよいと思います。
メンターとの関係を続けるコツ
メンターとの関係は、一度添削してもらって終わりではありません。
継続して相談できる関係を作るには、相談する側の姿勢も大切です。
私が意識しているのは、以下のようなことです。
- 添削を受けたら、できるだけ早く直す
- どこを直したか分かるように赤字で示す
- 指摘を反映しない場合は、その理由を説明してディスカッションする
- 投稿後、査読後、採択後には必ず報告する
- 学会で会ったら挨拶する
特に大事なのは、添削を受けたあとにどう返すかです。
指摘を受けて直した箇所を分かりやすく示すと、メンターも確認しやすくなります。
また、採択後に報告することも大切です。
メンターにとっても、自分が関わった論文がどうなったのか分からないまま終わるより、採択されたことを報告してもらえた方が嬉しいはずです。
採択後にやるべきことについては、以下の記事でも整理しています。
関連記事:
論文がアクセプトされた後にやること|校正・掲載料・共著者連絡・実績化まで解説
論文メンターとの関係は、一方的に添削してもらうものではありません。
自分の考えを持ち、指摘を受け止め、必要な部分は相談しながら磨いていく。
その姿勢が、次の相談にもつながります。
真っ赤な添削は、アクセプトへの最短コースだと思う
原稿が真っ赤に添削されると、正直落ち込みます。
私も落ち込みました。
ただ、最初からできていたら、そもそもメンターは必要ありません。
今は、真っ赤な添削はアクセプトされるための最短コースだと考えるようにしています。
査読者から指摘される前に、メンターから修正案をもらえている。
そう考えると、真っ赤な添削は否定ではなく、論文を通すための準備です。
メンターに見てもらうことで、論文の考察、新規性、査読対応は大きく変わります。
一人で書いていたら気づけなかった部分に気づけることこそ、メンターを持つ最大の価値だと思います。
論文がリジェクトされた後に、どのように立て直したかは以下の記事で詳しく書いています。
関連記事:
リジェクトされた症例報告がAcceptされるまで|査読対応で意識したこと
まとめ|論文は一人で書かなくていい
院内に論文指導者がいなくても、論文を書く道が閉ざされるわけではありません。
大切なのは、やみくもに相談するのではなく、直近で論文を書いている人、査読の目線を持つ人、自分のテーマに近い領域で実績がある人を探すことです。
Researchmap、投稿先に近い雑誌の論文著者、投稿論文査読者協力リストなどを見ることで、メンター候補は見つけやすくなります。
ただし、候補者が見つかったら、すぐに原稿を送りつけるのではなく、相談内容、症例概要、先行研究、投稿先候補を整理したうえで、学会で接点を作ることが大切です。
論文メンターは、自分の代わりに論文を書いてくれる人ではありません。
自分にはない視点で、客観的な意見をくれて、投稿戦略を一緒に考えてくれる指導者です。
論文は一人で書かなくていい。
院内に指導者がいなくても諦めなくていい。
メンターは運ではなく、探し方で見つけられる。
査読の目を持つ人に見てもらうと、論文は変わります。
私自身、最初の論文では真っ赤に添削され、一人で論文を書く限界を痛感しました。
だからこそ、院外にメンターを持つことは、病院薬剤師が研究を続けるための大きな武器になると感じています。
まずは、論文化したいテーマを1文で説明できるようにして、先行研究を数本読み、相談したい論点を整理するところから始めてみてください。

コメント