認定薬剤師の更新料や学会費を自腹で払っていませんか?本記事では、感染制御認定薬剤師の筆者が、病院機能評価を武器に「費用全額負担」を勝ち取った交渉術を公開。実績作りから直談判のタイミングまで、具体的なステップを解説します。
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「認定資格を取ったけど、費用がかかりすぎる…」
「病院のために勉強しているのに、更新料や学会費でボーナスが消えていく…」
こんなモヤモヤを抱えて働いていませんか?
こんにちは。現役の病院薬剤師のロキです。
私は現在、以下の資格を持ち、学会の評議員も務めています。
こう書くと順風満帆に見えるかもしれませんが、かつての私も皆さんと同じでした。
認定取得にかかる費用、更新料、遠方への学会出張費…。これら全てを「自腹」で支払っていた時期があります。「患者さんと病院への貢献」と信じてやっているのに、自分の貯金だけが減っていく理不尽さ。
しかし、私はある「交渉」を行い、これら全てを「病院側の全額負担」に変えることに成功しました。
この記事では、私が実際に病院経営陣を納得させた「機能評価を武器にした交渉術」の全貌を公開します。 もし今の職場環境に悩んでいるなら、この記事を読んで「交渉」の武器を手に入れてください。
まずは絶望を知る…認定薬剤師の維持にかかる「リアルなお金」
薬剤師の自己研鑽は、まさにお金との戦いです。 認定薬剤師を一つ維持するだけでも、以下の費用がかかります。
これが「感染制御」や「がん」などの専門資格になればなるほど、必須となる講習会や学会が増え、負担は雪だるま式に増えます。
「勉強は個人の趣味でしょ?」
そう片付けられてしまうことが多いですが、本当にそうでしょうか? 私たちが得た知識は、毎日の患者さんの治療、ひいては病院の利益に還元されているはずです。それなのに、コストだけ個人持ちというのは、冷静に考えて「搾取」に近い構造です。
私の実例(3つの資格)を見てもらった方が早いでしょう。 認定資格を維持するためだけに、最低でもこれだけの金額が私の財布から消えていく計算になります。
① 感染制御認定薬剤師(5年更新)
最も維持費がかかる資格です。更新には多くの単位が必要で、講習会への参加が必須となります。
| 項目 | 概算費用(5年間) |
| 日病薬・学会年会費 | 約48,500円 |
| 認定審査・登録料 | 33,000円 |
| 講習会・学会参加費 | 約41,600円〜 |
| 合計(最低ライン) | 約123,100円 |
※これに加え、遠方への学会参加(交通費・宿泊費)を含めると、実質20万円以上かかります。
② 抗菌化学療法認定薬剤師(5年更新)
こちらも学会参加が必須です。
| 項目 | 概算費用(5年間) |
| 年会費 | 45,000円 |
| 学会参加費・更新料 | 約35,000円〜 |
| 合計(最低ライン) | 約80,000円 |
※学会が遠方開催の場合、旅費だけでプラス10万円飛ぶことも珍しくありません。
③ 周術期管理チーム薬剤師(3年更新)
更新スパンが短いため、頻繁に出費が発生します。
| 項目 | 概算費用(3年間) |
| セミナー・e-learning | 27,500円 |
| 更新認定料 | 15,000円 |
【結論】3つの資格維持にかかる総額は…?
これらを合計し、年間の平均コストにならすと、驚愕の事実が判明しました。
➡ すべて自腹だと、年間 約8〜10万円 の出費!
いかがでしょうか? 「年間10万円の給料カット」をされているのと同じです。 家族旅行に行ける金額が、ただ資格を維持するためだけに消えていくのです。
なぜ病院は出してくれないのか?
事務長や院長といった経営陣は、薬剤師の専門性を細かく理解していません。 彼らにとって重要なのは以下の1点のみです。
「それを払って、病院にどんな金銭的メリットがあるの?」
「頑張ってるから出してください」という感情論は1ミリも通用しません。 私が交渉に失敗していた頃は、ただ「勉強したいから!」「適切な薬物療法の提供につながるから!」と伝えていました。これでは財布の紐は固いままです。
流れが変わったのは、私が交渉の切り口を「診療報酬(加算)」から「病院機能評価」に変えてからです。
私が実践した「全額負担」を勝ち取るための3ステップ

ここからは、私が実際に成功させた交渉の手順を包み隠さずお話しします。
ステップ1:実績の「見える化」〜機能評価を武器にする〜
多くの薬剤師は「加算が取れます」とアピールしがちですが、私は「病院機能評価」に目をつけました。 病院にとって、機能評価の更新は経営上の生命線であり、絶対に落とせない一大イベントです。
私は認定取得で得た専門知識をフル活用し、以下の行動を起こしました。
- 手順書・マニュアルの全面改訂 感染対策や手術室の現場マニュアルを、最新のガイドラインに沿って整備。
- 実務評価の改善 書類だけでなく、実際の現場フローを改善し、機能評価の審査項目をクリアできる水準まで引き上げた。
その結果、機能評価の更新において高い評価を得ることに貢献できました。この実績を持って、私はこう切り出しました。
「今の高い評価水準を維持し、次回の更新も確実にするためには、最新の知識を持った薬剤師の配置が不可欠です。病院の質の担保として、資格維持費の支援をお願いします」
「個人のため」ではなく「病院の評価を守るため」。 このロジックには、経営陣も頷くしかありませんでした。
ステップ2:他院の事例をリサーチ(外堀を埋める)
交渉の前に、近隣の同規模病院の待遇も調べました。 「A病院やB病院では、認定取得後の手当として月5千円から3万円の補助が出ています」というデータは、交渉の最後の一押しになります。
薬剤師の採用難が続く中、病院側も「他院より条件が悪いと人材が逃げる」という危機感を持っているからです。
ステップ3:直談判(タイミングと伝え方)
実績を作り、データを集めたら、あとは直談判です。 おすすめのタイミングは、「大きな仕事を成し遂げた直後」や「来年度の予算を決める時期(年末〜年度末)」です。
私は「辞めます」と脅すのではなく、「この病院で長く貢献し続けたい。そのための環境を整えてほしい」と、あくまでポジティブな提案として伝えました。
交渉の結果、私の環境はどう変わったか
交渉の結果、以下の費用が病院持ちになりました。
自腹を切るストレスから解放されたことで、純粋に「学び」に集中できるようになりました。 また、病院側も「お金を出した分、成果を出してね」というスタンスになるため、私も以前より意欲的に学会発表や論文投稿に取り組むようになり、結果としてシンポジストとしての登壇や論文の学会誌への掲載にも繋がりました。
「権利を主張し、義務を果たす。そして成果を残す」
この好循環が生まれたのです。
それでも「ウチの病院は絶対無理」というあなたへ
ここまで読んで、「すごい行動力だ…自分には無理かも」と思った方もいるかもしれません。 あるいは、「ウチの病院で同じことを言ったら、鼻で笑われて終わりだ」と諦めている方もいるでしょう。
正直に言います。「交渉には多大なエネルギーと時間が必要です。一番賢いのは、『最初からその制度がある病院』を選ぶことです。 戦う場所を変えるだけで、年収も待遇も一瞬で変わります」
あなたがどれだけ優秀でも、環境が悪ければ芽は出ません。「認定取得支援あり」「学会参加費の補助」を掲げている病院は、探せばいくらでもあります。 交渉で消耗するくらいなら、「最初から理解のある職場」に移るのが、キャリアアップへの最短ルートです。
とはいえ、いきなり転職するのは怖いですよね。 まずは「自分の市場価値」をコッソリ確認するだけでもOKです。
転職エージェントに「認定取得支援制度がある病院の求人はありますか?」と聞くだけで、あなたの地域の「ホワイト病院」の情報が手に入ります。 その情報を持っているだけで、今の職場での交渉も強気に進められるようになりますよ。
【教育・認定支援に強いエージェントならここ】
特に、認定薬剤師の取得支援を本気で探すなら、私は「ファルマスタッフ」をおすすめします。
おすすめする理由:現場の「教育環境」と「空気感」を、きちんと把握しているから。
効率を優先して電話やメールだけで済ませる会社も多い中、ファルマスタッフは全国12拠点を活かし、**「担当者が直接現場へ足を運ぶこと」を大切にしています。 求人票に書かれた「研修充実」の文字だけでは、実態までは見えません。 だからこそ、あなたの代わりに「現場のリアル」を自分の目で確かめてきてくれます。
これらは、面接ではなかなか聞きにくい情報です。 入職後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐために。 そして、学び続ける必要がある私たちにとって、この「嘘のない生の情報」は、何よりも頼れる判断材料になります。
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【まとめ】
薬剤師は真面目な人が多く、つい「自分が我慢すればいい」と考えがちです。 しかし、専門性を高める努力に対し、正当な対価やサポートを求めるのは「ワガママ」ではなく「プロとしての権利」です。
まずは、今の場所でできる「実績作り」と「交渉」にチャレンジしてみてください。 もしそれが通じない壁なら、その壁の向こう側へ行く(環境を変える)勇気を持ってください。
あなたの薬剤師キャリアが、自己犠牲で終わらないことを心から応援しています。
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